学校保健の最大の目的は、子どもたちの心身の健やかな成長を促すことです。保健の授業や保健指導は、知識の面から健康の大切さを訴えています。

しかし、それだけでは不十分です。子どもたちの健康を守るためには、教職員側が環境面からサポートをする必要があります。

そこで、学校では、学校薬剤師さんなどと協力し、難しい言葉で、「学校環境衛生検査」をしています。

毎日必ず行うもの、定期的に行うもの、臨時に検査する項目に分かれています。

検査項目も数が多く、また、専門的なものもあるので、ここでは、子どもたちにより身近な検査についてご紹介いたします。

飲料水の検査は毎日欠かさずしています

人の体は、70%以上が水分でできており、発汗や排せつなどで常に失われているので適正に補給する必要があります。

子どもたちは学校でも水分補給はしますよね。そこで、水道水の遊離残留塩素など飲料水として適正かどうか判断をしています。

遊離残留塩素とは、水道水を殺菌消毒したもので、専用の薬品で検査をしています。

また、浮遊物や、色が濁っていないかを目視で調べて記録を取っています。給食で使用される飲料水やプールの水も同様です。

日本の残留塩素はWHO(世界保健機関)の規定する基準値よりさらに低い基準を設けられています。日本の水は安全だと言われているのはこのためです。

でも、どうしても塩素の臭いが気になるという人や健康被害を考える方は、子どもたちに、煮沸などで塩素を除去した水やお茶を持参させることもいいことだと思います。

教室の照度(明るさ)

子どもたちの視力低下は深刻な問題です。テレビやゲームで目を酷使しているのかもしれません。

そこで、目を使った作業が多い学校では、明るさやまぶしさの基準を定め、大切な目を疲労から守る取り組みをしています。

照度計という速度計を用いて、最低必要限の数値、300ルクスが保たれているか測定します。

例え、天候が悪くてもこの数値を下回ることのないよう、照明などで調整しているのです。

また、授業中の視点は、教室の机と黒板を行ったり来たりと何往復もしています。

黒板は照度が低くなりがちで暗さを感じるため、目は明るさの調整をしながら順応しており、その分疲労もたまりやすくなります。

そこで、教室と黒板の照度の比率は10対1(厳しい時は20対1)を超えないようにすることと厳しく決められています。大切な子どもたちの目を守ってあげたいですよね。

成長に合わせた机・いすの高さを調整

学校で、最も長い時間を過ごすのが机といすですよね。その机といすが身体に合っていないと、疲れから正しい姿勢を保てず、視力低下につながります。

そこで、身体に合わせた計算式から割り出した号数の机といすに調整しています。

上記でご紹介させていただいた検査項目はほんの一部ですが、この他にも、子どもたちが学校で快適に生活できるよう、きめ細やかな環境整備をおこなっています。

元気に活動する子どもたちの笑顔を守りたいという願いが込められているのですね。