Authorbluefish2017

増加しているアレルギー、学校ではどう対応している?

最近よく耳にするアレルギー。食べ物や花粉、ホコリなど、そのアレルゲン(アレルギーの原因物質)も無数に存在しています。

中には寒さなど気温の差で反応する寒冷じんましんというものもあります。

現代の日本人は、本人に自覚症状がないだけで、何かしらのアレルギーを持っていると言われてるくらいです。

では、アレルギーとは一体どういうものでしょう?

人には、体にとって有害な物質が侵入しようとしたとき、その侵入をやめさせようと「免疫機能」が働きます。

その免疫機能が過剰に働きすぎて、体にとっては無害なものまでも、あやまって有害と判断し、体から追い出そうとするようになってしまいます。

これをアレルギー反応といいます。アレルギーを起こしやすいアレルゲンには以下のようなものがあります。

・主な食品…原材料として使用された表示が規定されている、卵・小麦・牛乳・カニ・エビ・そば・落花生の7品目

表示が推奨されている、バナナ・りんご・くるみ・ごま・カシューナッツ・豚肉などの20品目

・空気中に含まれるアレルゲン…杉・ひのきなどの花粉・ハウスダスト・ダニ・黄砂・動物の毛など

これらのアレルギーの症状には、浮腫(むくみ)・かゆみ・くしゃみ・冷や汗などがあります。

ひどくなると、アナフィラキシーショックといって、呼吸困難や顔面蒼白、チアノーゼ、最悪死に至ることもあり、すぐに専門医を受診する必要がでてきます。

主なアレルギー疾患には、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、じんましんなどがあります。

皮膚や粘膜など、弱い部分に症状がでやすくなるのが特徴です。

また、食後、すぐに症状が現れなくても、食後の運動で体温が上がり発症する「食物依存性運動誘発アナフィラキシーショック」という怖いアレルギーも出てきました。

もし、アレルギーと診察されたら、主治医の指示に従って、出来る限り原因物質を取り除く必要がありますね。

では、学校はアレルギーに対し、どのような対応を考えているのでしょうか。

まず、問題になるのが、学校給食で提供される食品ですね。年度初めに提出を求められる個人の保健調査票やアレルギー調査などで、情報を出来る限り把握します。

学校によっては、除去食といって、その食品を始めから使用していない給食を出したり、人員的・物理的に難しい場合は、お弁当を持参してもらうなどの対応を取っています。

そばなどの粉が飛んでしまう可能性がある時は、他の子どもたちと別の教室で給食を食べさせることもあります。

ハウスダストなどの空気中のアレルゲンに対しては、マスクやゴーグル着用をお願いしています。

ただ、抗アレルギー薬や除去食などで対応していても、万が一のこともあります。

そのため、学校の教職員が、アナフィラキシーに対して、「エピペン」と呼ばれる緊急時を抑える医薬品の使用が認められるようになりました。

ですが、使用にはためらいがあるのも実情のようです。

アレルギーは、採血で簡単に検査することができます。気になる症状があれば、早めに病院を受診しましょう。

成長とともに消えていくアレルギーもありますので、子どものアレルギーとその原因をよく知った上で、上手に付き合っていくことが大切ですね。

飲み水も検査しています!保健室の先生の様々な学校環境安全

学校保健の最大の目的は、子どもたちの心身の健やかな成長を促すことです。保健の授業や保健指導は、知識の面から健康の大切さを訴えています。

しかし、それだけでは不十分です。子どもたちの健康を守るためには、教職員側が環境面からサポートをする必要があります。

そこで、学校では、学校薬剤師さんなどと協力し、難しい言葉で、「学校環境衛生検査」をしています。

毎日必ず行うもの、定期的に行うもの、臨時に検査する項目に分かれています。

検査項目も数が多く、また、専門的なものもあるので、ここでは、子どもたちにより身近な検査についてご紹介いたします。

飲料水の検査は毎日欠かさずしています

人の体は、70%以上が水分でできており、発汗や排せつなどで常に失われているので適正に補給する必要があります。

子どもたちは学校でも水分補給はしますよね。そこで、水道水の遊離残留塩素など飲料水として適正かどうか判断をしています。

遊離残留塩素とは、水道水を殺菌消毒したもので、専用の薬品で検査をしています。

また、浮遊物や、色が濁っていないかを目視で調べて記録を取っています。給食で使用される飲料水やプールの水も同様です。

日本の残留塩素はWHO(世界保健機関)の規定する基準値よりさらに低い基準を設けられています。日本の水は安全だと言われているのはこのためです。

でも、どうしても塩素の臭いが気になるという人や健康被害を考える方は、子どもたちに、煮沸などで塩素を除去した水やお茶を持参させることもいいことだと思います。

教室の照度(明るさ)

子どもたちの視力低下は深刻な問題です。テレビやゲームで目を酷使しているのかもしれません。

そこで、目を使った作業が多い学校では、明るさやまぶしさの基準を定め、大切な目を疲労から守る取り組みをしています。

照度計という速度計を用いて、最低必要限の数値、300ルクスが保たれているか測定します。

例え、天候が悪くてもこの数値を下回ることのないよう、照明などで調整しているのです。

また、授業中の視点は、教室の机と黒板を行ったり来たりと何往復もしています。

黒板は照度が低くなりがちで暗さを感じるため、目は明るさの調整をしながら順応しており、その分疲労もたまりやすくなります。

そこで、教室と黒板の照度の比率は10対1(厳しい時は20対1)を超えないようにすることと厳しく決められています。大切な子どもたちの目を守ってあげたいですよね。

成長に合わせた机・いすの高さを調整

学校で、最も長い時間を過ごすのが机といすですよね。その机といすが身体に合っていないと、疲れから正しい姿勢を保てず、視力低下につながります。

そこで、身体に合わせた計算式から割り出した号数の机といすに調整しています。

上記でご紹介させていただいた検査項目はほんの一部ですが、この他にも、子どもたちが学校で快適に生活できるよう、きめ細やかな環境整備をおこなっています。

元気に活動する子どもたちの笑顔を守りたいという願いが込められているのですね。

「ほけんだより」は健康情報の宝庫

保健便りはためになる健康情報が盛りだくさん!

お子さんの学校からも、かわいいイラスト付きで毎月配布されているのではないでしょうか。

保健室の先生から子どもたちや保護者の皆様へ向けて、健康に対するメッセージがたくさんつまっています。

よく読んでみると、役立つ情報がたくさんあります。

その時期にちなんだ健康情報

例えば、
・6月4日の「むし歯予防デー」には、正しい歯磨きの方法や、歯ブラシの選び方など。
・10月10日の「目の愛護デー」には目によい食べ物や、目の休め方といった目に関連させた情報。

といったように、その時期に合わせた保健情報を、1年を通じてお知らせしています。

これは、自分の体に興味を持ってもらいたという思いから取り上げています。子どもたちの健康の保持増進を目的にしているので、最新の知識を得ることができるのです。

ぜひ役立てて下さいね!

感染症の発生状況を記載しています

保護者の皆様が一番知りたいのは、なんといっても地域の感染症発生状況ではないでしょうか。特にインフルエンザや風邪などの人にうつりやすい病気は気になります。

これらの情報は、お子さんが体調不良を訴えたとき、受診の判断目安にもなります。

ウイルスや細菌は目に見えないからこそ、今の時期は何が流行しているのか情報収集としての役目があります。

家庭にお願いしたいことをお知らせしています

毎年決まった時期に行われる健康診断の日程などお知らせしています。実は、健康診断はご家庭の協力が不可欠なんです。

例えば、内科検診や、心電図検査などは、病院の先生(校医さん)や検査技師さんに来校していただくので、日程の変更ができません。

そこで、当日のお休みがないように健康管理をお願いしています。

もしお休みされると、後日、個人で健康診断を受けていただくことになり、遠方だと保護者の方の負担が増えてしまうことになるからです。

お子様の健康状態を詳しく記入した保健調査票や尿検査といった提出物も、提出の期限が決められています。保健便りで確認をして、忘れないように提出して下さいね。

スムーズな健康診断のために、ご協力をよろしくお願いします。

また、健康診断の結果が返ってきたら、必要に応じた治療も忘れずに。

家庭と保健教育の足踏みを揃えたいときも利用します

学校では、子どもたちの心身の発達段階に合わせて、たくさんの保健指導を行っています。知識の定着には、家庭と学校の連携が大切だと考えています。

特に、メディア漬けの生活習慣の改善や、難しい性教育などは、ご家庭でも悩まれていることだと思います。

学校で学んできたことを家庭でより深く掘り下げることで、知識を正しく理解してもらうことをねらいとしています。

家族団らんの時間に保健便りを使って親子の会話をすることも方法です。

また、学校からの配布物の横に並べて、子どもたちの目に入る壁などに掲示してみるのも素敵な工夫ですよね。

色んな利用価値がある保健便り。先生も読みやすいように工夫されていますので、毎月楽しみに待ってて下さいね。

保健室でできる病気や怪我のケアは応急処置

「先生!怪我したー。」、「頭痛いー。」と、保健室には、毎日たくさんの子どもたちが訪れます。

中には、「昨日包丁で切った…。」と家庭での怪我を報告に来てくれる子もいます。おうちの人のお手伝いしていたんだろうなあ、と微笑ましい気持ちのなることもあります。

保健室を病院のように考えている方もいらっしゃるかと思いますが、実は、学校で怪我をしたり病気になった時の、家庭や病院へ引き渡すまでの応急手当が限界です。

ですが、保健室での手当はご家庭でも参考になるかと思います。

外科編…切り傷のときは清潔を保ちましょう

すり傷や切り傷の手当の基本はなんといっても清潔!特に、外で転んだ場合などは、ほこりや砂まみれになることも…。

体には、外からのバイ菌の侵入を防ぐ機能を兼ね備えていますが、それだけでは不十分です。化膿から別の感染症を引き起こすこともあります。

子どもはひどく痛がると思いますが、ここは我慢!流水で、泥など目に見える汚れを綺麗に洗い流しましょう。

洗浄のみでも大丈夫なのですが、オキシドールなどで消毒してあげてもいいですね。水分をよくふき取り、清潔なガーゼや絆創膏で覆ってあげましょう。

捻挫や打撲には氷でひやしましょう

捻ったり、強く打ってしまったり、子どもの遊びには怪我が付きものです。慌てずに痛みの様子などをよく観察しましょう。

捻挫・突き指といった外傷には、それぞれの頭文字を取った「RICE処置」が有効です。

R… Rest  むやみに動かさず安静を保ちます。
I… Ice 腫れていたり、熱を持つことがあります。保冷剤や氷で十分に冷やしましょう。
C… Compression 包帯などで強めに圧迫・固定をします。
E… Elevation できるだけ高い位置まで挙げましょう。心臓に近い位置がもっとも良いようです。

骨折が疑われる場合もありますので、決して自己判断をしないよう、早めの病院受診をおすすめしています。医師に診てもらって何もなければ安心ですよね。

内科編…頭痛のときの応急手当は?

子どもの内科的訴えで一番多いのが頭痛です。ご家庭でも同じ対応を取られると思いますが、顔色をみながら体温測定を行います。

その際、できるだけ話を聴くのですが、睡眠不足からの頭痛も少なくないのが実感です。その時は休憩させたりもしますが、睡眠の大切さを伝えるようにしています。

発熱時は、平熱の個人差があるので、一概には言えませんが、大体の目安として37.5℃を超えた場合はご家庭へ連絡を入れるようにしています。

また、最近は、気圧の差などが原因になる子どもの偏頭痛や、心因性による頭痛も増えてきています。

あまりに頭痛を訴える場合は、専門家を受診してみて下さいね。

内科的な訴えで頭痛の次に多いのは腹痛

「お腹が痛い」との訴えで考えられる原因で一番多いのが便秘です。小学生でも1週間でていない…という子も少なくありません。苦しいはずです。

学校では緊張して出にくい環境があるので、授業中の静かな時間に保健室へ来ることが多いですね。体温測定や問診も必ず行います。

便秘の場合は、お腹のマッサージをします。左わき腹を下に押し出すようなイメージで少し強めにマッサージしてあげましょう。

ただ、頭痛と同じように腹痛にも他の病気も考えられますので、我慢せず早めに病院を受診しましょう。

実は、子どもの様子を一番わかっている保護者の方が、一番の名医だとも言われます。

子どもたちが痛みで苦しんでいる様子はツラいものがあります。早めの応急処置で痛みを軽減させてあげれたらいいですよね。

学校で流行しやすい感染症の種類を詳しくご紹介!

学校は、集団生活の場です。一度感染症が発生すると大流行を起こすこ可能性があります。時には、後遺症が残るほど深刻な場合もあります。

学校でよくみられる感染症の主な症状や、予防方法などについて考えてみましょう。

・インフルエンザ

冬場に大流行を起こすインフルエンザは、かかると潜伏期間を24~72時間をおいて発症します。症状は、38度以上の発熱、寒気、手足の関節痛、頭痛などがあります。

4~5日ほどでよくなりますが、時々、インフルエンザ脳炎や肺炎を併発することがあるので注意が必要です。

タミフルやリレンザといった薬が処方されますが、タミフルは10代の子どもたちへの副作用の危険性が指摘されているため、使用の際は子どもの行動を観察しておきましょう。

インフルエンザウイルスは咳やくしゃみで飛沫感染をするので、予防は外出中のマスク、帰宅後の手洗い・うがいが効果的です。

ウイルスは乾燥した冬場の空気が大好きなので、部屋の空気の入れ替えや加湿をこまめに行うのもいいですね。

毎年、WHO(世界保健機関)は、インフルエンザウイルスの流行の型を予測し、それに合わせた予防接種を推奨しています。

予防接種はインフルエンザを完全に予防できるわけではないのですが、感染した場合の重症化を防ぐこともできます。

抗体ができるまでの期間を考慮し、流行前の10月~11月頃までに受けるようにしましょう。

もしかかってしまったら安静にし、学校には発症後5日間の後、解熱後2日間の出席停止を経て登校が可能になります。

出席停止は、本人の休養と感染拡大防止の目的で校長が指示を出す措置です。不要不急の外出を控え、無理せずしっかり休みましょう。

・水ぼうそう

水痘帯状疱疹ウイルスが原因の感染症です。感染力が非常に強く、子どもの感染症と思われがちですが、大人も注意が必要です。

頭に赤い発疹がでることが多く、その後、体、手足と発疹の個所が増えていきます。

赤い発疹の後は、水ぼうそうという言葉の通り水分が混じり、かさぶたとなって終わるようです。

しばらくの間は新しい赤い発疹とかさぶたが混在した状態が続き、5~7日ほどで治ります。発熱は出たり、出ないこともあります。

治療は主に、抗生物質と発疹に対する軟膏が処方されます。白い軟膏を塗ったお子さんを見かけることがありますよね。

出席停止の期間は、全部の発疹がかさぶたになるまでと定められています。

・流行性耳下腺炎

ムンプスウイルスが原因の感染症で、「おたふくかぜ」とも呼ばれています。耳下腺(頬の下あたり)などが大きく腫れ上がり、38℃以上の発熱が3~5日続きます。

出席停止期間は、耳下腺・顎下腺・舌下腺などの腫れ(主要症状)が始まってから5日間を経過したうえに、全身症状(発熱など)が良好になるまでです。

学校でよく見られる感染症について記述してきましたが、上記のほかにも、はしかや風疹、咽頭結膜熱や結核など、様々な感染症があります。

出席停止期間なども細かく決められていますので、学校からの配布物にもよく目を通しておいて下さいね。

また、ノロウイルスやリンゴ病、溶連菌感染症など、主治医の指示によっては出席停止になる病気も数多くあります。

いずれにしても、予防は手洗い・うがいが基本です。感染症に負けない体づくりと、自分で予防する意識が大切ですね。

また、もしかかってしまったら、周囲へ感染を広げないよう、自宅でゆっくりと休養するようにしましょう。

「早寝・早起き・朝ごはん」基本的生活習慣のススメ

子どもたちの健やかな心身の発達には、「早寝・早起き・朝ごはん」の基本的生活習慣をしっかりと身に着けさせることが不可欠です。

そこで、それぞれの大切なポイントについて説明させていただきます。

「早寝」…早く眠りにつくことは心身の安定につながります

身長が伸びるために必要な成長ホルモンは、心のイライラを落ち着かせる役割もあります。

寝る子は育つとはよく言ったもので、この成長ホルモンは、深夜2時~3時が最もよく分泌されます。

上手に分泌を促すためは、この「ゴールデンタイム」までに深い眠りについておかなければなりません。

一般的に、小学校低学年は夜の9時まで、高学年以上は10時までに眠るようにすると、深夜2時には深い眠りに入ることができます。

体の不調を整えたり、筋肉痛などの怪我をしている個所を修復することも、睡眠の最中に行われているのです。

子どもたちは社会環境の変化で、深夜でも電気の明かりのために、常に目からの刺激があり、どうしても夜型の生活習慣になりやすくなってしまいました。

就寝時間になったら、刺激の強いテレビやゲームをやめさせるようにし、電気を消して布団に入りましょう。保護者から成長期の子どもへ向けての愛情表現につながります。

子どもの睡眠時間は7~8時間が理想です。たっぷりと確保してあげましょう。

「早起き」…良質な睡眠を確保するための一日のスタート

1日は24時間。でも、人の遺伝子に組み込まれている体内時計は25時間だと言われています。1時間のズレがあります。

このズレのまま生活をしていると、必然的に夜型人間へとなってしまいます。先程説明した良い睡眠を確保するために、朝はスッキリと起きる必要がありますね。

早く起きて日中活発に活動することで、夜は自然と眠りにつくことができるようになります。

朝日の光とともに起きる習慣が身に付くと、生活リズムも良い循環として回っていきます。

夜は寝付くのが遅くて…、と悩んでいる方は、まずは早起きを頑張ってみましょう。目覚まし時計だけでは不安という人は、カーテンを少し開けて寝ることをおススメします。

太陽の光には体内時計をリセットする力があります。朝、カーテンの隙間から太陽の光が入ることで目に刺激が入り、スッキリとした目覚めを手助けしてくれることとと思います。

「朝ごはん」…脳にエネルギーを確保しよう

朝は、前日の食事の後から睡眠に入り、体はエネルギーを欲しがった状態になっています。

早起きが出来なければ、朝食の時間が無くなってしまいますよね。これでは脳にとって必要な糖が不足し、学習に集中できません。

朝食の摂取率と学力は比例しているという研究結果もでているほどです。

また、女の子に多いのですが、ダイエットという目的であえて食べない子どももいます。

体は、一度食事を抜くと「飢餓状態」であると判断し、逆に脂肪をため込もうとします。朝食を摂らないのは、太りやすい体を作ってしまうのです。

以上のように、「早寝・早起き・朝ごはん」の大切さをご理解いただけたでしょうか。

生活リズムを作ることは、心身の発達だけでなく、学習や人間関係にも大きな影響がでてきます。

実は私たち大人にも言えることなんです。良い基本的生活習慣の形成を心がけたいものですね。

成長期の子どもたちを食事の面から見直そう

「食べることは生きること」。子どもたちの心身の健康を守ることを目的に、平成17年7月食育基本法が施行されました。

食を巡る様々な問題を、国は総力を挙げて取り組みたいと考えています。

現代を生きる子どもたちは、食に対してどのような問題を抱えているのでしょう

(1)栄養状態

ある一定の栄養素ばかりとる偏食・個食や、エネルギーの過剰摂取である肥満、極度の痩せ思考といった、栄養バランスが乱れた食生活を送る子どもたちが増えています。

成長期の子どもたちが栄養バランスの偏っている食事ばかり摂っていると、がんや糖尿病といった生活習慣病のリスクが高まるのは周知の通りです。

また、遺伝子組み換えといった新たな食品や添加物の摂取が長期間に渡った場合、将来的にどのような問題が発生するのかはまだ研究段階です。

(2)孤食の増加

両親の共働き世帯が増え、一人で食事を摂る子どもたちがいます。そうすると、好きなものばかりを食べるようになり、偏食・個食につながっていきます。

また、会話がない食卓では心の成長が見込めないそうです。各ご家庭で様々な事情があります。朝食だけでも、家族が揃う習慣ができるといいですね。

(3)食事中のマナー

正しい箸の持ち方や、お茶碗を置く場所など、日本には美しい食文化があります。植物や生き物の命を「いただく」その行為を尊ぶことは、心優しい日本人を育てます。

学校給食は食育の場

勉強を頑張る子どもたちにとって4校時目には給食の良い香りにお腹が鳴りますね。

学校給食は、心身の健やかな成長を願って、細かく栄養バランスの計算をされた食事を提供しています。

中でも、家庭では十分に摂取しづらいとされている以下の栄養素については学校給食で可能な限り補うように定められています。

・カルシウムは1日の摂取目標の50%
・ビタミンB1は1日の40%
・ビタミンB2…40%
・マグネシウムは1日の摂取目標の50%

学校給食でこれだけの栄養をとることができたら、仕事に忙しく、子どもの食事になかなか気を配れない保護者の皆様はとても助かりますね。

食材も、できる限り地産地消とし、残留農薬が少なく鮮度のよいものなど、食の安全にも十分配慮しています。

配置は義務ではないのですが、各学校に「栄養教諭」という資格を持った先生がいて、食育指導をしてくれているところもあります。

給食では、お友達や先生と一緒に食事をすることで会話が生まれたり、箸の使い方などのマナーも学ぶことが出来ます。心の栄養につながることもメリットですね。

また、学校給食で最も怖いのは、食中毒。そこで、学校の調理室は、病院の手術室と同じくらい清潔を保たれているといいます。

調理員さんの健康観察も厳しく、腹痛や下痢の症状がある場合は、調理ができないことになっています。

実際に給食として提供される数十分前には学校の責任者である校長先生が、「検食」といって味などの不都合がないか確かめをしています。

子どもたちの食の安全を守るため、たくさんの人たちが協力しているのですね。安心して残さずに召し上がってほしいと思ってます。

「いただきます」と「ごちそうさまでした」いう言葉には、生き物の命をいただく有難さと、食に携わってくれた多くの人たちの想いに感謝する意味があります。

これも素敵な食育ですね。

手洗い・うがいで病気にならない体をつくろう

子どもって、すぐに病気にかかりますよね。月に何度も発熱したり、兄弟そろって感染症にかかったり…。

人の体には、免疫といって、病原菌が体内に侵入した場合もそれをやっつける機能が備わっています。でも、小さなお子さんは、その機能がまだまだ未熟です。

免疫とは、「前に一度、戦ったことのあるバイ菌だな。」と、体に害のある細菌・ウイルスの型を白血球に覚えさせることで発達しています。

発熱には、体を休ませ、バイ菌の活動を鈍らせる役割があります。体の中で、白血球が一生懸命戦っているのです。

…とはいえ、子どもが発熱や体調不良で苦しんでいる姿はあまり見たくないものですよね。

病気に強い体作りはもちろんのこと、細菌やウイルスを体内に取り入れない工夫も大切です。それが、「手洗い・うがい」です。

手やのどには、目に見えないバイ菌でいっぱい!石鹸と水で洗い流すことで、鼻や口からバイ菌の侵入を事前に防ぐことができます。

そこで、学校ではこまめな手洗い・うがいを指導しています。

きれいな手洗いを目指そう!

①手を水で濡らして、石鹸をよく泡立てましょう。最近では泡で出てくるタイプのハンドソープもあります。

②両手のひらを合わせます。10回ほどこすり洗いをします。

③右手の甲に左の手のひら乗せるようにし、手の甲を洗います。右の手が終わったら手を逆にし、左手の甲も同じように洗いましょう。

④10本の指を全てクロスさせ上下に動かすように指の側面を洗います。

⑤忘れやすいのは爪です。右手を開き、手のひらの真ん中で左手の爪を立てるように泡立てます。右の爪は、左の手のひらでやさしくこすりましょう。

⑥左手で右手の親指を握り、クルクルと回しながら親指を洗います。左の親指は右手で握り、回し洗いします。

⑦右手首を左手で握り、親指を洗ったように回すように洗います。左手首も同様です。

⑧最後に流水で石鹸の泡を丁寧に洗い流しましょう。清潔なタオルで水分をよくふき取り終了です。

丁寧に手洗いをすると時間も5分ほどかかります。ですが、石鹸の泡で手に付いた細菌やウイルスといった汚れを洗い流すことができます。

家族内での感染症を予防するのには、タオルの共有を避けることもポイントです。雑菌はしめったところが大好きです。タオルもこまめに洗濯し、清潔を保ちましょう。

口の中はバイ菌でいっぱい…、うがいで追い出そう

口の中、のどの奥にもたくさんのバイ菌が付着しています。

①水を少量口に含み、軽くすすいで口の汚れを吐き出すイメージでブクブクうがいを2~3回繰り返します。

②水を含み、上向きになり、ガラガラうがいをします。のどの奥を洗い流すイメージです。同じように2~3回繰り返します。

殺菌作用のある、塩水やうがい薬、緑茶でのうがいも効果的ですね。

外から帰ったら、まずは、てあらい・うがい。この生活習慣を身に着けさせることは、子どもにとって、健康の自己管理のスタートです。

病気に負けない体を目標に、親子で「てあらい・うがいマスター」目指すのも楽しそうですよね。きれいな手で美味しいおやつを食べる。とても微笑ましい光景です。

虫歯を防ごう!学校で教えてくれる正しいブラッシングの方法

むし歯にはなりたくない!むし歯で苦しんだことのある人なら誰でもわかるあの痛み…。歯医者さんでの治療もまたまたツラい…。

きちんと歯磨きしておけばよかった…と、後悔しても遅かったりします。では、人はなぜむし歯になるのでしょう。

食事をすると、食べ物が歯に不着します。口腔内細菌のミュータンス菌は食べ物の糖が大好き!付着した糖から歯垢(プラーク)を作り出します。

その歯垢に酸を出すことで、歯が溶け出してしまいます。この、溶けた歯の状態を「う歯(むし歯)」といいます。

歯には大きい神経が通っており、むし歯が進行すると神経が痛み出します。むし歯が痛いのはこのためなのです。

むし歯は感染症だと言われています。赤ちゃんの口腔内にはむし歯の原因となるミュータンス菌はいません。

大人の使用した箸などを使って食事をすることで赤ちゃんにも細菌が感染します。そして、一度感染すると、取り除くことは不可能とされています。

乳幼児期に感染させなければよいのですが、実際はとても大変です。むし歯の予防で最も効果的なのは食べ物のカスを取り除く、丁寧な歯磨きなのです。

そこで、学校ではむし歯予防のための、ブラッシング指導を行っています。

昼食後、音楽に合わせてみんなで歯磨きをしたという経験がある人もいると思います。これも、ブラッシング指導の一つです。

学校では、自分の歯は自分で守るという意識付けを行うのが第一の目的です。

歯垢をカラーテスターと呼ばれる薬品で染出しをし、視覚に訴える授業を行うこともあります。薬品を噛み砕き、歯垢が残っていたら(磨き残し)、赤く染まります。

この授業をすると、「歯の溝」・「歯と歯の間」・「歯と歯茎の間」に赤色が残り、むし歯になりやすい個所を実感することができるのです。

むし歯になりやすい個所を知識として学んだ後、実際にブラッシングをします。

歯ブラシを鉛筆持ちにし、小刻みに歯磨きをすることで、歯垢が取れていく様子を体感させます。

家庭でも自分で丁寧な歯磨きを心がけることをねらいとしています。

それでも磨き残しはあります。低学年のうちまでは、ご家庭の仕上げ磨きをお願いしたいと思います。

歯ブラシは、毛先の開いていないものを使用するようにし、月に一度は交換するようにしましょう。

また、どんなに丁寧に磨いてもむし歯になりやすい人もいます。

生まれ持った歯質で、どんなに丁寧な歯磨きを続けても、どうしてもむし歯になってしまうという人は、歯の定期検診を受けましょう。

学校でも検診はありますが、スクリーニング(ふるいわけ)といって、簡単な視診のみなのでどうしても限界があります。

むし歯は見当たらないと言われていたのに、レントゲンを撮ると目には見えないむし歯がたくさん…ってこともあるのです。

早めにフッ素を塗ることで、早期のむし歯の進行を抑えることもできます。

歯磨き粉にフッ素が入っているものも数多く出ていますが、量が少なく、効果が期待できないこともあるそうです。

最近では、歯に良いとされるキシリトール入りのガムなども出ています。上手に利用したいものですね。

歯は一生物です。子どものころから歯を大切にする習慣を身に着けさせることは大人の役割とも言えます。

むし歯で痛い思いをする子どもが一人でも少なくなるといいですね。

健康診断の結果はどのように受け止めるべき?

学校では、子どもの身体の発達・健康状態を把握するために、毎年4月〜6月までの間、健康診断を行うことが定められています。

その内容は視力や耳鼻疾患なども含めて大きく12項目に分かれています。保健室で検査をした記憶がある人も多いはず。

ここでは、そんな健康診断の中でも皆さんが特に気になる身長・体重について、結果の受け止め方など記述してみたいと思います。

身長は発達のバロメーター

健康診断の結果を見て、身長が伸びていると子どもは大喜びですよね。顔にも個性があるように、慎重にも伸びる時期など個人差があります。

身長測定で問題になってくるのが、その伸び方。発育発達曲線というグラフを参考に子どもたちの発育状態を見ます。

身長は、乳児期から幼児期がもっとも伸びます。せっかく買った洋服も半年で着られなくなる…という時期ですよね。

その後、緩やかな成長を見せ、思春期に急激な伸びを見ます。これを「発育促進期」といい、男女比でみると、思春期の伸び方は、女の子の方が2年ほど早く訪れます。

身長を測定するのは、この発育促進期が早く来ていないか、または、逆の事象(発育促進期が遅くないか)を確かめているのです。

身長が伸びるためには、「成長ホルモン」が大きく関わってきます。

発育曲線のグラフを見て、その線が横ばいをたどっていたら、成長ホルモンの分泌が正常でない場合もあります。

また、急激な伸びで発育促進期が早く訪れてしまった場合、その分、身長の伸びが早く止まってしまい、大人になったとき結果的に低身長となってしまうケースがあります。

いずれにしても、早期発見をすることが大切です。低身長を防ぐことができた子どもたちもたくさんいるので、成長の目安として管理していきましょう。

体重は適性を目指しましょう

体重測定では、身長と同様、発育曲線を用いて肥満ややせ型の発育状態を調べます。

体重とは、骨・筋肉・心臓といった内臓系と体脂肪の2種類を合わせた総重量を示します。

さらに体脂肪とは、人が生きていくためのエネルギーを貯蔵していますが、その重量が異常に増加すると肥満、減少をやせと言うのです。

肥満の健康被害はよく知られていますが、最近では、子どものやせも問題になっています。思春期やせ症(神経性食欲不振症)や児童虐待が背景にあることもあります。

体重は、ホルモンバランスや、精神状態の影響を受けやすく、心の問題を疑いやすい数値でもあるので、こまめに計測し、適正体重を保っているか評価することが大切です。

やせが美しいという社会の風潮に流されることなく、健康のためにはほどよい脂肪量も必要であることを認識してほしいと思います。

身長と体重はバランスが大事

発育曲線のグラフを使って、身長と体重が緩やかな上向きをたどっていたら、元気に成長している証拠。

「よく食べて、よく寝る」、成長期の子どもにとって一番の仕事だと思います。

健康診断の結果が届いたら、「うちの子どうかな~」と、ちょっと気にかけてみて下さいね。

ちなみに、身長と体重は、タケノコ式で交互に増加するそうです。だから、増えない時期があっても大丈夫。1年単位で成長を見守ってあげてほしいと思います。

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